TOKON10実行委員会公式ブログ

第49回SF大会TOKON10実行委員会の公式ブログです。
開催日程:2010年8月7日(土)〜8日(日)
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東京SF大全10『惑星ソラリス』
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    「惑星ソラリス」A・タルコフスキー監督(1972)

     SF映画史上の古典となった今では、若いファンから「はて、東京なんて出てきましたっけ」と言われてしまうのだろうか。実は序盤、東京の首都高速が登場する。もちろんそれは東京そのものとして登場するのではなく、主人公たちが住む未来都市の景観として借用されているのだが。
     もともと大阪万博を使おうとしていたがなかなか許可が下りず、来日した時は既に万博は閉幕していた。やむを得ず、首都高速で代用したのだという。
     モノクロで露出過多気味の白っぽい映像となっているが、特に加工はされておらず、注意して見ていると、漢字の道路標識が次々と登場する。タルコフスキーが意図したはずもないが、今となっては「ブレードランナー」(82)の先駆ともいえる都市イメージを感じさせるのは興味深いことだ。
     それにしてもなぜビル群ではなく首都高速を未来都市に見立てたのか。冷戦終結間近の89年、東欧圏を訪れた時、疑問が氷解した。彼の国では、道路は原野に点在する都市を繋いでひたすら真っ直ぐに伸びているものだ。そして何よりも移動の自由がなかったため、高速道の整備は極めて限定されたものだったという。都市の内部に血管のように張り巡らされ、二重・三重と複雑にうねりながら交錯する道路網はさぞ異様に見えたに違いない。それはタルコフスキーにとってのもうひとつの「海」だったのだろうか。(高槻真樹)

    ( Photo by (c)Tomo.Yun http://www.yunphoto.net )
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