TOKON10実行委員会公式ブログ

第49回SF大会TOKON10実行委員会の公式ブログです。
開催日程:2010年8月7日(土)〜8日(日)
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東京SF大全21 『よくわかる現代魔法』
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    こんにちは。高槻です。SFW特殊救助隊のおかげでようやく物体Oから脱出できました。さて、本日はゾロ目の日。毎回われわれ以外の素敵なゲストにご登場願っているわけですが、今回は私のSF仲間にして韓国で日本SFを研究しておられる朴零さんにご登場いただきましょう。生粋のソウルっ子である朴さんの趣味はブックオフのソウル支店で日本語SF書籍を買って読むこと。見てのとおり、ほとんど日本語ネイティヴとまったく見分けのつかない完璧な日本語。私も今夏の朴さんたちの来日に合わせてハングルを勉強中ですが、先は遠い(^^;                 (高槻真樹)



    よくわかる現代魔法 (小説・ 桜坂洋 ・集英社スーパーダッシュ文庫・2003年〜)

    よくわかる現代魔法書影

     本書は題名に魔法という単語が入っていて、魔法少女が活躍するようなファンタジーのライトノベルであるが、魔法をコンピューターとネットワークで実行するというSF的発想が作品の基盤になっていて、作中にはSF作品へのオマージュもあるし、ここで紹介するのも特に間違ってないと思う。

     2003年に始まったシリーズであるが、この作品の設定とかが特に斬新だったとはいえない。ライトノベルとしてもキャラクターが王道的で特に目を引くところも少ないほうだろう。おまけに最初のころは私が見ても書き方が上手くないように感じられた(もちろんこれはシリーズが進みながらよくなっていくし、1巻は改正版も出た)。それでも、この作品の魅力がないわけではない。

     その魅力のひとつは素材を身近なものから取ることで得られる親近感だろう。この作品の「現代魔法」は結果が魔法であることを除けば、ほとんどコンピューター・プログラミングそのものであり、出てくる用語もコンピューター関連からきたものばかりであって、これらについて少しでも知識がある人はニヤリとするだろう(そもそもタイトルからしてプログラミング入門書のもじりである)。

     また、この現代魔法が実行されるのが携帯電話だというのも親近感を増すのだろう。この作品の舞台が銀座、渋谷、秋葉原など東京の繁華街であるのは、この世界観を支えるある種のリアリティの表現のために必須的なことだったであろう。

     物語の中心となるのは姉原家がある銀座であるが、これらの舞台の中で一番私が親しみをを覚えるのはやっぱり秋葉原だ。秋葉原には一度しか行ったことがない私が親近感を持つというのは変かも知れないが、韓国にも龍山(ヨンサン)という電気の街があって、そこになじみ深い私が秋葉原でも似た空気を感じたからである。龍山には昔からコンピュータの部品やAV機器を買うためによく行っていたが、それだけではなく、まだ日本文化が正式に開放されてなかった時代から日本の音楽・アニメ・ゲームソフトを取り扱っていた店がいくつもあって、そこに訪れるためでもあった。

     それで、私が行ったときの秋葉原はすでに電気街というよりオタクの街という印象が強かったが、この変化はある意味で自然な流れのように思えるのだ。もともと先端のハードウェアがあるところには先端のソフトウェアがなければならない。日本ではアニメやゲームがもっとも発達してるソフトだから、秋葉原がオタク文化と親和性が高いのであると思う(ちなみに龍山が秋葉原のようにならなかったのはこのようなソフトの消費が充分ではなかったからだろう)。だからこのような空気のなかで本書のように萌えと魔法とSFがごっちゃになった作品が出てくるのもまた自然なことだといえるだろう。(朴零)

    秋葉原
    (物語の舞台となった秋葉原)
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