TOKON10実行委員会公式ブログ

第49回SF大会TOKON10実行委員会の公式ブログです。
開催日程:2010年8月7日(土)〜8日(日)
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東京SF大全41『TOKON8』
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     SF都市の宴


     初めてSF大会に参加したのは二〇歳になった直後の夏、一九八二年のことだった。TOKON8である。SFは<拡散と浸透>の時代が爆発的に拡大しつつあったころで、ハヤカワSF文庫、創元SF文庫、サンリオSF文庫はもとより、集英社のワールドSFの刊行も始まっていた。後に大ヒットする『超時空要塞マクロス』のデモフィルムが最初に放映されたのもTOKON8だった。
     一般に千葉県は首都圏と思われがちだが、私(と朱鷺田祐介)の出身地は、四年前に創刊されたサンリオSF文庫の第一陣が、二件しかない本屋の一つ店頭にそっくり置かれたまま(一九八八年まで)になっているような辺境だったから、TOKON8の会場に足を踏み入れた瞬間に解ったことは、ここはSFの都市国家なのだという事実だった。
     SF大会とは、単なるコンベンションではなく、SF都市の宴だったのである。
     以来、私にとっては東京での生活そのものがSFと化していた。SF大会が一個の都市国家の宴である以上、年一度のお祭りとして終焉するはずもなく、日常を蚕食するようにして拡大することは必然的な結果であったからだ。TOKON8は、翌年にはTOKON大阪大会、翌々年にはTOKON蝦夷大会と擬態を繰り返して成長する怪物のように思われた。
     <拡散と浸透>の時代と言われながらも、当時はSFと主流小説との境界は比較的はっきりとしていた。TOKON8の直前くらいに出版された『SFセミナー』(集英社文庫)で、小松左京さんは、現代SFを「科学文明・宇宙時代の人類を、そこで生きる一個の生身の人間の側から文学の方法で描く試み」と定義した。当時は、私の小松さんの言葉が正しいと信じていたが、二十八年後の今日、SFは当時の姿から大きく変容している以上、小松さんの定義だけでは、主流文学との境界線が消失した現代SFの全てを論じることは容易ではなくなってきているようだ。
     現代SFの新しい定義が必要とされていることは確かだった。それは新しい文学理論の確立と同義でもあるだろう。
     しかしSF都市の宴に引き込まれて右往左往していた二〇歳の私には、二十一世紀のSFは<抽出と凝固>の時代を迎えたなどと主張してSF評論に関わるようになろうとは、全くのところ思いもよらぬことだったのである。 
    (礒部剛喜)
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